日本自然保育学会の理念

木登り 森のようちえん

「日本自然保育学会」設立趣意書

2015111

 

近年の環境の変化は、子どもたちの育ちにさまざまなゆがみを生じさせています。日本の子どもたちの自己肯定感は、諸外国の中でも突出して低いのが特徴です。自分という存在に価値を見いだせず、無気力に陥る子どもや若者の割合が成長とともに増えていくという日本特有の現象の背後には、少なからず教育の影響があると考えざるをえません。

子どもの育ちや教育に関わる私たち大人には、「すべての子どもが健やかに自分らしく育つ権利」を、乳幼児の時代から保障する責任があります。

子どもの健やかな育ちにとって、自然との触れ合いは不可欠です。自然の中でさまざまないのちと出会い、世界の手触りを直接に感じることは、驚きや喜びに満ちた豊かな生の扉を開きます。土や水や植物といった自然の事物と向き合う中で、自然の不思議さに気づくとき、子どもたちは、自分もまたこの豊かな世界に抱かれて生きていることの意味を知るでしょう。自然の厳しさを前に仲間とともに過ごし、創意工夫しながらあそぶ経験によって、子どもたちは、自分の可能性を信じることを知り、自分の存在を肯定し、多様な考えを持つ他者を認めることができるようになることでしょう。

そして、自然の中で子どもが自ら世界に働きかけ探究していく傍らには、自然への畏敬の念と、子どもの育ちへの深い理解に基づいて、それを見守る大人の存在が不可欠です。大人は、子ども自身の主体的な学びの可能性を信じ、見守り、待つことによって、子どもが自ら世界を広げていくための伴走者となることが必要なのです。

これらの問題意識に基づき、私たちは学問や職業の領域を超えて、自然環境や地域資源を活用した保育・幼児教育と、子どもの育ちとの関係を研究し、実践を広げていくために、「日本自然保育学会」を設立することにしました。「日本自然保育学会」は、子どもの健やかな育ちのために、自然環境や地域資源を活用する保育・幼児教育をめぐる研究を深め、その普及をめざす学際的な学会です。